Cakewalkで音が出ないということは割とよくあり(Cakewalkが悪いというわけではなく、僕はCakewalkをメインで使っているため他のDAWはわかりませんのでCakewalkをディスっているわけではありません)、音を正常に出力させるための設定が数多くあり、慣れないうちはやる気を削がれるほど途方に暮れてしまうことも少なくありません。
以前の記事で最低限プロジェクトですら音が出ない場合の対処方法を記事にしましたが、デモプロジェクトでは音が出たものの、自分で作った、またはこれから作ろうとしているプロジェクトで音が出ないという場合の対処方法を書いていきたいと思います。
Cakewalkに限らず大多数のDAWは音の記録・再生方法として、大きく分けて2つあり、一つはMIDIインストゥルメント、もう一つはオーディオの2種類です。
MIDIインストゥルメントは簡単に行ってしまえばいわゆる打ち込みデータで、オーティオは演奏した音声そのものを録音したものと捉えてください。
今回は特にMIDIインストゥルメントの音が出ないという場合について書きます。
オーディオ編は別で作成したいと思います。
基本的な状態で音が出るか確認
CakewalkにはプリインストールされているTTS-1という音源がありますが、これで音が出るかまずは確認してみます。
TTS-1のインストゥルメントトラックを作ります。
新しくインストゥルメントトラックが作成されるので、小さな鍵盤のアイコンをクリックします。
するとTTS-1のウィンドウが開きますので下に並んでいる音符のマークのPreviewアイコンをどれでもいいので長押しします。
16個並んでいますが、どれもピアノの演奏が聞こえるはずですが10番だけはドラムの演奏です。
ここで音が再生されない場合は、デモプロジェクトも再生できない可能性が高いのでもう一度過去の記事を参考にデモプロジェクトが正常に再生されるか確認してください。
FXをすべてOFFにしてみる
FXとはエフェクトのことです。
エフェクトが影響して音が出ないことも稀にありますので、これをOFFにします。
上の②の箇所のようにFXのアイコンをONにするとエフェクトがすべてバイパス、つまり何もエフェクトがかかっていない状態になります。
これで音が再生されたら、FXの設定を見直してみましょう。
出力信号の流れの確認
デモプロジェクトは正常に再生されるにも関わらず、上記手順で何も音が聞こえない場合は、出力系統をチェックしましょう。
先ほど作成した新規トラックの出力先から出力先までつながっているか確認しましょう。
僕の画面の例では、トラック1は出力先がMasterになっています。出力先は先頭に「O」という記号があるプルダウンのボックスです。
上の画面の例のように、画面下半分にミキサーのようなものが表示されていない場合は、画面の一番上のメニューバーの「表示」から「コンソールビュー」をクリックすると表示されます。
次にMasterというバスを確認します。Masterの出力先はUR22C(僕の使っているオーディオインターフェース)という設定になっています。
どういうことかというと、トラック1の出力先がMastar、Masterの出力先がオーディオインターフェースということで、トラック1→Master→オーディオインターフェースという信号の流れができあがっていると思います。
このようになっておらず、トラックやMasterの出力先に「なし」が指定されていたり、意図していないデバイスが出力先に指定されている場合は修正してください。
出力系統でミュートになっていないか確認
信号の流れが正常につながっているはずなのに音が出ない場合は、信号の通り道の途中でミュートになっている箇所がないかを確認します。
また同時に、他のトラックで「ソロ」が指定されており、そのトラック以外の音が出ない設定になって以下の確認も行います。
ミュートが設定できてしまう箇所はいくつかあります。
まず、各トラックでミュートやソロの設定になっていた場合、一括で解除するには以下のような操作をします。
さらにMasterバスもミュートの設定があります。
もしMasterバスやMetronomeバスが表示されていない場合は、左端に隠れてしまっているので、ドラッグして表示させましょう。
通常のプロジェクトではMasterバスが最終の出力系統のように見えますが、実はさらにもう一段ミュートできてしまう箇所があるので注意が必要です。
Master, Metronome, Previewバスのさらに右側にもう一つ隠れているチャンネルがあります。
TTS-1で音が出ない場合の対応方法は以上です。
これでTTS-1の音は出ましたか?
インポートした.midファイルで音が出ない
Cakewalk以外のDAWからCakewalkにデータを受け渡しする場合、オーディオデータ以外の打ち込んだMIDIデータは.mid形式または.midi形式で受け渡しすることになると思います。
この場合、他のDAWからのデータは純粋なMIDIデータのみですので、(チャネルは指定されているものの)どの音源を使用するのかとか、出力先はどの機器なのかといったデータは記録されていないため、そのまま再生しても何も音が出ません。
下の画面は.midファイルをインポートしてそのまま再生したときの画面です。
レベルメーターも振れていて正常に出力されているように見えてますが、音はまったく出ていない状態です。
ここでコンソールビューの出力先を見てください。
すべてのトラックの出力先がUR22Cとなっていて、一見Masterバスを使わずに直接UR22C(オーディオインターフェース)に出力しており、「これでも正常に音が出るはず」と思う人も多いと思います。
しかし、この状態は音源を指定していない状態でMIDI信号のみをUR22Cに送っている状態です。
もう少し噛み砕いて言うと、オーディオインターフェースに対して音を送っているのではなく、楽譜を送っているだけの状態です。
UR22CはMIDI信号の入出力にも対応しているのでこのような表示になりますが、仮にこのようなオーディオインターフェースなど、何も接続されていない場合は下のような表示になります。
「出力」という出力先になっていて、有効な出力機器になっていないことがわかります。
上の例では、トラックにRemix Drum KitとかSky PadとかSynth Bassとかありますが、これはタダのトラック名であり、音源を指定しているわけではありません。
結局どうすればいいのかというと、各トラックが何を鳴らせばいいのかを指定してあげます。
まず、空のMIDIインストゥルメントトラック(TTS-1)を追加します。
すると自動的にこれまでのトラックの出力先が変更されていると思います。
出力先が自動的に変更されていない場合は手作業で1トラックずつ出力先をTTS-1に変更していってください。
.midファイルをインポートしただけの状態では、TTS-1もロードされていない状態だったため、MIDI信号の行き先がなく音が出なかったということになります。
そこで、空のTTS-1のトラックを作ってあげることで、このプロジェクト自体にTTS-1がロードされ、もともとあったトラックもTTS-1を音源として使うことができるようになり、結果として音が出る。ということですね。
DAWを触り始めて間もない頃は、なんて面倒なんだー!と怒りたくなること間違いないと思います。
はじめのうちは上記の手順通りにやってみて音が出ればいいと思いますが、慣れてきたら上に書いたような音が出なかった理由まで理解することで、トラブル対応に強くなることができると思います。
まとめ
冒頭にも書きましたが、DAWは設定する項目が多すぎて、ちょっとしたことでも音が出なくなり、どこをどういじってもうまくいかず、途方に暮れてしまいます。
今回はMIDIインストゥルメントトラックの音が出ない場合の対処方法を書きましたが、実際に音が出ない事例はこんなパターンだけではないはずです。
特にMIDIキーボードなど、Cakewalk内部だけでなく外部の要素も絡んでくるとさらに原因の切り分けが難しくなります。
ここに載っている通りにやったけどまだ音が出ない!という場合はコメントで教えて下さい。
また、オーディオトラックについてもこれから記事を書いていきたいと思います。
ではでは
コメント
朝から何時間いじっても全く音が出なくて、もう半べそ状態だったのですがこの記事のおかげで音がでるようになりました。本当にありがとう!この状態になっているのが正常というところのOFFになってなきゃいけない場所のどこかがONになっていたのが原因で、そこをOFFにしたらあっさり音がでました。この記事がなければ確実に投げ出していました。お礼にこのページにあるアレをひととおりクリックしときました。